船橋の動物病院・さきがおか船橋動物病院
〒274-0807 千葉県船橋市咲が丘1-3-6
TEL:047-449-9912
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『犬の椎間板ヘルニア』
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『犬の椎間板ヘルニア』
院長の田村です。
『犬の椎間板ヘルニア』です。
ミニチュア・ダックスフンドに多く見られますが、
シーズーやビーグル、ペキニーズなども好発犬種です。
一般に 「胴が長い犬が椎間板ヘルニアになる」
と思われていますが、
これらの犬種の多くが『軟骨異栄養性犬種』
であることが原因となっています。
この『軟骨異栄養性犬種』は、
椎間板の髄核と呼ばれる部分が早期に軟骨化してしまう犬種…
ということなのですが、もっと簡単に説明すると
「骨と骨の間のクッション(椎間板)が
1~2歳のうちに硬くもろくなってしまう犬種」
ということになります。
そして、
破裂したクッションの中身が脊髄神経を圧迫することで、
その部位より下(尻尾側)に
神経的な障害を引き起こしている状態が
『椎間板ヘルニア』という病気です。
症状としては
軽度な場合は痛みや元気食欲の低下のみの場合も多いです。
神経学的異常も認められない場合は他の病気との鑑別が難しく、
他の疾患も考えつつ犬種から
「軽度椎間板ヘルニアの疑いあり」
と診断することもあります。
中等度の場合の症状は
後肢の麻痺が認められるようになります。
この麻痺は
「フラつきながらもどうにか歩ける」
というものから
「後肢は少し動かせるが歩くことはできない」
まで症状はさまざまです。
重度の場合は
後肢の完全麻痺が認められた上に、
痛みに対する反応の有無によって
さらにグレード分けされていきます。
治療方法は
症状が軽度の場合は内服薬と
運動制限により改善していくことが多いです。
しかし、
症状進行の有無を飼い主様によく観察して
いただくようにお願いしています。
中等度以上の症状がある場合には
獣医学的に手術が適用になることがありますが、
飼い主様とよく相談した上で治療方針を決定していきます。
手術となった場合は
当院では手術に際しては直前にMRI検査をお願いしています。
手術の場所やアプローチの方向、重症度判定、
また脊髄梗塞や脊髄軟化症などの
鑑別診断に大変有効な検査となっています。
当院にはMRI検査機器がありませんので
動物専門の画像検査センターをご紹介しています。
(検査予約は当院から行います)
手術方法は
ダックスフンドに最も多い胸腰部の椎間板ヘルニアの場合は
『片側椎弓切除術』 を行います。
状況により椎間板の 『造窓術』
を併用することもあります。
これは背骨の一部を削り、
骨自体に穴を開けて脊髄神経を圧迫している
椎間板物質を取り除く方法です。
今回の症例は
ミニチュア・ダックスフンド、9歳3ヶ月の女の子。
突然の後肢の麻痺で来院されました。
後ろ足はほとんど動かず引きずって歩いており、
痛みや肛門部への刺激に対する反応は残っている状態でした。
そのほかレントゲン検査や神経学的検査、
血液検査等を行い椎間板ヘルニア以外の疾患を除外し
「胸腰部の椎間板ヘルニアの可能性が強く疑われます」
と飼い主様に説明しました。
飼い主様の都合もあり、
すぐにはMRI検査に行くことができなかったため、
4日後に検査予約をして内科的治療を試みましたが
全く症状の改善が見られませんでした。
MRI検査では
「第11~12胸椎胸椎間に右腹側から重度の脊髄圧迫所見あり」
との診断をいただき手術を行いました。
術後は疼痛のコントロールや術部の
冷却(アイスパック)やマッサージ等の術後ケアを行い
術後3日目には尻尾を振ることができるようになり、
後ろ足に力を入れて腰を持ち上げられるようになりました。
術後5日目には不安定ながら
足を交互に出して歩けるようになってきました。
このダックスちゃんは、この日退院し現在も自宅でリハビリ中です。
いつも手術が必要なわけでも、
手術さえすれば良くなるわけでもありませんが、
この子については「手術してもらってよかったね」
と思えた症例でした。
術後は「いつ足が動くのか‥」と
スタッフ一同いつも心配になりますが、
尻尾が動いたり、立ち上がったり、
歩いたりした時には入院室で歓声と拍手が起こります。
それはこの仕事の「醍醐味」であり
「最も嬉しいことの一つ」です(笑)
ミニチュア・ダックスフンドが増えたことにより
一気に有名になった病気ですが、
「軟骨異栄養性犬種」
と暮らしている飼い主様には常に覚えておいていただきたい病気です。
最後に、
今回も飼い主様にはブログへの掲載と
写真の使用を快く承諾してくださいました。
病気や怪我の経験はもちろん辛く大変なことですが、
その経験をシェアさせていただくことで、
多くの動物たちの病気が早期発見・早期治療に結びついていけば…
との思いをご理解いただけたからだとおもいます。
この場をお借りしてスタッフ一同御礼を申し上げます。
ご協力ありがとうございました。
また、この「症例シリーズ」は、
飼い主様に病気の概要を理解していただくをとを第一の目的にしておりますので、
かなり噛み砕いた表現や
、難解な部分についてはあえて説明しない場合があります。
獣医学的に100%満たしていないこともありますが、
このブログの特性をご理解いただきご容赦いただければと思います。
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